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ゲームデベロッパー 娯匠 公式ブログ

サウンド

音と錯覚 第三回

堀内です。

喘ぎ喘ぎなんとか三回目です。

今回は「ガガガガガ(ブルルル)」について書きます。
この音はHalf-Lifeでゴードン・フリーマンがMP5を乱射してる音です。

ゲームをご存知ない方にはWikipediaでも読んでもらうとして、EAXやA3Dといった3Dサウンドシステムに対応しており、当時ゲームのためだけに自作PCをガチャガチャと組んで最適環境を目指してた身(引退済)としては、その努力に対する恩恵がダイレクトに感じられて感動したものです。

足音を聞いて敵の方角を認識できるといった利点以外にも、実銃系のリアルな発砲音がより臨場感が増し、没入感が半端ないゲームでした。

元々Quakeで「酔うから無理!」と諦めて以降、FPS系はやっていなかったのですが、Half-Lifeのかっちょいー導入部をはじめとした数々の優れた演出やストーリー惹かれて「これはやらねば!」と奮起、3D酔いで吐きながら(比喩ではなく本当に2回ほどリバース)脳を鍛錬し、ついにFPS耐性を身に付けることができた記念すべきタイトルなのです。以降カウンターストライク、デルタフォース、SWAT、アメリカンアーミー、バトルフィールド等々いろいろ手を出すことになります。まあ、下手の横好きなのでさっぱり勝てないので自然と離れて、最近はとんとやりませんけど。

だいぶ横道にそれました。

で、MP5を乱射するのが気持ちいいという話なのですけど、この「撃ってる感」が当時ダントツに好きでした。

リアルな銃声、反動で揺れる銃、一人称視点と3Dサウンドの没入感、異様に賢いAIの海兵隊との緊張感ある戦闘、かるい頭痛と胃のむかつき…そしてボンヤリしたゲーム脳状態で、ふと「あれ?このマウス振動機能ついてたっけ…なんか指先にトリガーを引いてる感触があるんですけど~…きもち~~」とかなりヤバイところまで行ってしまいました。

音、映像、操作性などすべて優れた上質なゲームは人をその世界に深く没入させ、錯覚までおこしてしまう。やっぱゲームってすげぇ!となったのであります。

じゃあ、それがわかったから自分たちで実践できるかというと、全然そんなことはなく、いろいろ工夫してみても、そこまでの境地にはなかなかたどり着きません。当然ですけど…やっぱり難しいです。でも、諦めません、よ。

四回目は、ネタを思いついたら書きます。このネタはいったん打ち切りです!

次週、今年最後の投稿ができるか!?乞うご期待。
(と、プレッシャーを自分にかける)

音と錯覚(第ニ回)

堀内です。

ちゃんと続きました。二回目です。

今回の音は「チーン」にしようと思います。さすがにこれで分かる人はいないでしょうから勿体ぶらずに答えを書くとDiabloの『リングが落ちた音』です。

Diabloというゲームをご存じない方(…いるのか?)に一応簡単に補足しておきますと、ハックアンドスラッシュタイプの草分け的存在として語り継がれるトップビュー型のアクションRPGの"超"名作です。

そもそもこのゲームの開発元であるBlizzard社が手がける作品は、どれもサウンド系全般のクオリティがとても高く、記憶に残るイイ音に溢れまくっております。(Matt Uelman による名曲の数々はいまでもポータブルプレイヤーでの再生回数上位に鎮座してます)そんな中、この「チーン」がなぜココに書く音として選ばれたのかをツラツラと書いていこうかと。

Diabloというゲームにおいて、様々な特殊効果を持つリングは、そもそもなかなか出現しない「落ちると嬉しいアイテム」でありながら、やたらとちっこくて何処に落ちたか視認しにくいという難儀な特徴をもっています。(もっとも、Diablo2になってからAltキーを押すと落ちているアイテムが簡単にわかってしまうので初代Diablo限定のお話)

なのでプレイヤーは、リングが落ちる「チーン」という音を頼りに薄暗いダンジョンを探索することになるのですが、なによりこの音が優れているのは、"敵に囲まれた混戦状況で様々な効果音が鳴りまくっている中、確実に聞き取れる"という点です。

ざしゅざしゅざしゅ、ぶぉお、しゅしゅるるるぱさっ、ざっ、ざっ、ぶぉっ、ぶぉっ、ぶるぉおおお! "チーン" ざっ、ざっ、ざしゅざしゅ、うぼぁあ、こぽこぽ、こぽこぽ

…と、途中に挟み込まれているリングの落下音が鳴った瞬間、プレイヤは『あ、落ちたな』と一見冷静な面持ちで、内心『効果の程は…』とワクワクした気持ちを抑えながら、戦闘が一段落した刹那、マウスを高速で走らせ、画面中を舐め回してリングを血眼になって探す、という光景が当時は世界中でみることができました。たぶん。

この"どんなときでも埋もれず、聞き取れる"という事に、音楽を多少カジッていた自分は、ゲームの効果音におけるミキシング的な考え方の重要さに気がついてしまったのです。雷が我が身を貫いたがごとき衝撃を受け、三日三晩全身の震えが止まらなかったという瞬間的な驚きではなく、やればやるほど…ジンワリ…ジンワ~リ…と遠赤外ヒーターのように「あ、これ、実はすごい」と染みいった具合です。

音というのは波ですので、波どうしの干渉によって互いに打ち消し合うような効果を生み出す場合があり、この効果を狙って使用しているのがノイズキャンセリングヘッドフォン、狙って分離してるのがミキシングと呼ばれる工程だったりします。(我ながら凄まじく乱暴な書き方だなぁと思っちゃったりしますが、この場で細かい説明をするのはご勘弁)

ずばり、この「チーン」はその意味で"どんなときでも埋もれず、聞き取れる"ように調整されているのデス!たぶん。

また、ゲームにおいては音色等による聴きわけやすさ以外にも、ゲームルール的、ハードウェア的、ソフトウェア的な優先度のコントロールが必要です。ゲームの効果音は世界の雰囲気作りだけでなく、Diabloのリングのような『プレイヤーにとって重要な情報』を補助する役割も担っています。然しながら、ハードウェアやソフトウェアの都合上、同時にならすことができる音の上限が設定されることが大半です。すべての音が同列に扱われていると、重要な効果音を鳴らそうとした時に再生されている音数が既に上限に達してしまって大問題になることがあります。はい…はい…経験あります。

なのでゲームを設計する際には「この音は何が何でも絶対鳴らす」「余裕があったら鳴らすけど、余裕がなくなったら再生止める」とか音毎に設定しなければなりません。基礎の基礎ですが。

Diabloプレイヤーにとって、この「チーン」は、絶対に鳴り、かつ聞こえなければならないわけで、開発者たる者、そこをちゃんと理解して、調整しなければならない…ということに若かりしワタクシに気付きを与えてくれた聖なる音なのです。

そしてその優れた音は、確かに当時のプレイヤーの脳内で『暗い闇に覆われた陰湿なダンジョンの中、怪しくヌメリと金属質なきらめきを放つ小さな指輪」として変換され、昨今のものすごい時間と手間をかけて作られた高密度で美しいビジュアルの3DCGより、ある意味でより実感を伴うリアルな記憶として埋め込まれるわけです…

「そんなの思い出補正じゃん!!」という罵詈雑言を全方位から食らいつつも、さらに続きます。たぶん。

音と錯覚(第一回)

堀内です。

表題に第一回とかいてありますが、何回まで続くか不明です。

突然ですが、ビデオゲームの思い出話をするときに、「あのステージのあの曲がサイコー」とかいう話題はわりと耳にしますが、「あの効果音サイコー」っていう話題はそうは聞かない気がします。どうでしょう?

そんなわけでマイナーな開発会社の代表である自分は「あの効果音サイコー」っていう話をわざわざ掘り下げてみたいと思います。

がきんちょの頃の記憶で、いわゆる"音真似"をするくらいインパクトがあったのは、ご多分に漏れずスター・ウォーズの「コー…パー…」とか「ヴシュゥウウン…ヴウウウウン」とか「ンァアアオオ」とかぐらいじゃないかなぁと思います。スター・ウォーズ、偉大ですね。ちなみに前からベイダー卿の呼吸音、ライトセイバー起動音と振る音、ウーキー です。まあ、あとは「ドカッ」「バキッ」とか「ズキューーン」とか、それはもう極々一般的な感覚で生きていました。ちなみに前から打撃音1、打撃音2、銃の発射音 です。

あ、でも今思えば、発砲音の「ズキューーン」は中学前後でプラトーンとか観てから「タタタン キキン、キン(三点バーストから排莢の落下)」という乾いたリアル路線に切り替わり、日本のドラマの発砲音はオカシイ!とか息巻いてたりもしますので、その頃から今の方向性がほぼ定まっているような気もしますが、話がずれるのでそれは置いといて…

まぁまぁ、上記程度であれば"誰しも通る道"といっても過言ではない!とか断言してしまいますが、ビデオゲームでスター・ウォーズ級のインパクトを与えてくれた音…となると、それほど一般的な感覚ではなくなるんじゃないかなーと思ったり。以後の話題で「あるある」といってくれる人とは旨い酒が飲めそうです。(※注:イメージです。自分は酒が飲めません故)

では、そんなビデオゲームで脳に焼き付くインパクトを与えてくれた効果音シリーズ、栄えある第一回目は「ガイーン!」にしたいと思います。

これでわかった人とは旨い酒(略

答えは、バーチャファイターのカウンターとか大ダウン攻撃とか痛い系のヒット音です。(超メジャー級なので「あるある」といってくれる人はわりと多いですかね?)

当時、この「ガイーン!」という音には本当にショックをうけました。いや、だってバーチャファイターって「3DCGでつくられた立体的なキャラクターがリアルな動きで戦う」というコンセプトだと思うわけですよ。でも、生身の人間の体に当たった音が「ガイーン!」ですよ。カッチカチですよ。これは普通の発想じゃでてこないですよ。

でも「リアル」といっておきながら初期3DCG故にソリッドなモデルとなっており、そこから醸しだされる当時の圧倒的な未来感とでもいいましょうか、そんなものとうまくマッチしたから、よりいっそうあの音が"良い意味での違和感"として機能し、耳に残ったのだと思います。

とくにサラステージの地面から上方向への照明と、この「ガイーン!」の相性は、冬の鍋の汁で作ったおじやにちょっとかぼす絞るかの如き絶妙な組合せで、恐ろしく美味な仕上がりとなっておるわけです。

この音が自分の中でゲーム効果音における「アヒルの子が最初に見た物を親と思う」的な位置付けとなり、自社の開発でも効果音の担当者に「こういう"違和感"のある痛い音がほしいんデス!」と伝えたりしました。ここに白状するとロストレグナムのカウンター音はその影響が顕著かと思います。

で、さっきから "痛い"音 とか書いてますが、音なので実際痛いわけは無いんです。しかし、そうと錯覚させるマジックがココにはある!と自分はこの時発見してしまいました。以後、自分がこの感覚に取り憑かれることを、まだ知る由もなかった…

というヒキで次回に続きます。

血湧き肉躍る曲

 PSP『剣闘士 グラディエータービギンズ』にてBGMを担当した柳川剛です。

 BGMと一口に言っても、ゲームによって実に様々なアプローチがあります。プレイヤーの皆さんが血沸き肉踊るアクションに没頭して頂くのはもちろん外せない大事な要素ですが、今作ではもう一つ、世界観──ローマの息吹を肌で感じて頂くことを念頭に制作しています。

 舞台は栄華を極めたローマ帝国。

 数ある歴史ものの中でも、他の追随を許さないであろう壮大なスケールを持ち、『スパルタクス』『グラディエイター』『スリーハンドレッド』など、映画でも度々題材として取り上げられる、血なま臭くもドラマチックな物語の数々がそこには眠っています。

 数千年の時を遡り、プレイヤーの皆さんをいかにして「そこ」へ誘うか。

 今回、オーケストラサウンドを中心にスケール感、重厚さを出し、中近東を中心とした様々な民族楽器を用いることで、PSPの画面の中から「ローマの息吹」を感じられるよう、音楽面からサポートさせて頂きました。

 剣。   槍。   盾。   鎧。

 戦いとは「肉と肉のぶつかり合い」であり、己の五体が、血と肉こそが、真実だった時代。そのことを意識しながらプレイして頂くと、また違った楽しみ方が見つかるかもしれません。

 柳川 剛 拝
 http://www.az-sound.net/



 今回は新曲を担当して頂いた、柳川剛さんから届きましたコメントを掲載いたしました!また特別に掲載許可をいただいたので、新曲の中から2曲ほどご紹介いたします。

  ♪『剣闘士 グラディエータービギンズ』BGM 1 - デュエル
  ♪『剣闘士 グラディエータービギンズ』BGM 2 - ラストバトル

血湧き肉躍る音

 堀内です。

 遅くなってしまいましたが、以前Twitterで“サウンド関係をネタに”と、ご提案がありましたので、そのあたりを書いてみたいと思います。

 Gladiator RtF プロジェクトは「そのまま海外で通用するものを」というテーマが根本にあり、手っ取り早くそのテイストを得るためにアメリカの制作会社に発注しました(今では、日本でも優れた人物に頼めば、その点は何ら問題ないということがわかっているのですが、会社立ち上げ当時は繋がりも少なく手探りな状態でした…)。

 剣で斬った音ひとつとっても、ありがちな時代劇の効果音のようなモノではなく、生々しく痛みを感じるモノを目指したいという熱い気持ちを伝えたところ、発注先では自宅兼スタジオにて実際に金属をガンガン叩いたり、生肉を斬りつけたりして収録してくれたようです。その甲斐あってイイカンジの音が揃ったのではないかと思っています。

 こちらです。 ヒットSE1(金属) ヒットSE2(斬撃) ヒットSE3(打撃)

 BGMでは「マゲリウス訓練所」の曲のピョロロ~という笛の音が妙に耳に残り、開発中は多くのスタッフの脳内で無限ループするはめに陥った記憶が…(この曲とともに訓練士の「おぅら~い」という掛け声も社内でえらく流行りました)。

 さて、今回のPSP版でも時代背景はほぼ一緒ということもあり、引き続き前作のデータを使うことになったのですが、それだけではさすがに寂しいので何点か絞って追加することを決め、その制作は AZ SOUND (アズ・サウンド) 柳川 剛 さんにお願いしました。

 前作の曲と入り交じってしまうことになるため、ある程度イメージを踏襲しながら…という難しい要求に答えて頂きながらも、とても雰囲気のある格好良い楽曲が徐々に追加されていき、開発中は「お~今度の曲はこうきたか~」とたいへん刺激的でした。

 次回はその柳川さんに記事をお願いしましたので、お楽しみに!
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