相田です。

 そろそろ剣闘士の話題を続けるのも精神的に苦しくなってきていますが、未発表プロジェクトの話をするわけにもいきませんし(ちゃんと色々動いていますのでご安心ください)、乗りかかった船、走り始めたマラソン、できれば完走したいっ!ということで…

 今回はプレイヤー剣闘士を事あるごとに助ける&利用してくる後援者、貴族たちのお話。後悔先に立たず。

 プロジェクトスタート時はシミュレーションゲームのように数十人の貴族がいて…なんて話もありましたが、8人から6人と徐々に減ってゆき、最終的に4人に落ち着きました。正直言ってプロジェクト規模から考えてみると、4人という数も結構キツかった気がしますが、後の祭り。

 『剣闘士』のシナリオは本職の方々、小説家の深見 真さん、漫画家のRebis宮下さんのお二人にご協力いただいています。それによってキャラクター性といいますか、その人のバックグラウンドをより感じさせるようなセリフ回しになっていまして、前作と比べてはっきりした人間味が感じられるのではないでしょうか。

 性格付をする上では、エリザヴェタとブロシウスは深見さんによってローマらしいバックグラウンドの構築がなされ、ポンポニウスはRebis宮下さんによって血肉を与えられたように思います。アクイリアはプランナー石川の愛で固められ誰も文句を言え

 こだわり抜かれたセリフと演出、楽しんでいただけたでしょうか?

 後援者やその他登場人物をデザインしていく上では、事前に決められた性格設定を元に、まず雰囲気(ベースイメージ)を会議の場で固めていきました。具体的には映画やドラマなどの登場人物、役者を抽出し、4人に当てはめていくという流れです。「この映画のこの人」とイメージが決まっているものもあれば、複数の人物を組み合わせたりもしています。それをさらにローマライズ(勝手造語)することでコンセプトデザインを起こしています。



■ ポンポニウス

 トーガを着ているため一番ローマの貴族らしい雰囲気をもっている後援者です。一言トーガと言いましても色々あるのですが、世間一般的にローマのトーガと言いますと、このポンポニウスが着ている赤ラインのものを思い浮かべるのではないでしょうか。

 白地に赤ラインが入ったこのトーガは元老院の議員が着るもので、仕立ても上等だったようです。シンプルな布一枚なのですが、そのシンプルさに比べてトーガの着方は実に複雑怪奇、ざっくりとそのフォルムをイメージできるものの、時代によって着方の流行もあったらしく、何がどうなっているのやらで、デザインを起こすのも一苦労でした。

 ベースイメージとなった役者はジャック・レモン(Jack Lemmon)。本作の中でも、まじめ&おっちょこちょいという性格と合わせ、一番イメージが確立されているように思います。



■ アクイリア

 プランナーの目が厳しく光る中でデザインされたキャラクターですが、逆にその分イメージが固められていたのでデザインし易かったように思います。設定を事前にしっかり組み立てておくことは作業を円滑に進める上で非常に大切ですね。

 将軍家のお嬢様でありスッキリとした性格から、衣装はシンプルで(割と)動きやすそうな構造、黄色を主体にした明るい色調になっています。ベースイメージは様々な人物をミックスしているので特定はできませんが、分かりやすいところではナタリー・ポートマン(Natalie Portman)でしょうか。

 ちなみに「ツンでツン」だそうです。「デレ」ません。



■ エリザヴェタ

 熟女&エロ担当です。裏で画策し甘言で男を手玉にとり、上手く行かなくなったらまとめて処分しようとし、最後は泣き落としにかかるという、現実世界のどこかにいそうな女性像が赤裸々に描かれていて、本作でも随一のリアリティを発揮しています。

 背景となる元ネタは、海外ドラマ『ROME』に登場する影の主人公(断定)アティアなのですが、ビジュアルはより若々しくて艶っぽい女性を目指しています。後援者や貴族の中で唯一具体的なモデルが存在しませんから、関わったスタッフがそれぞれもつ潜在的な「女性像」が発揮されているかもしれません。面白いですね。

 邪魔者を消していくという血生臭く肉欲的なシナリオに合わせ、衣装は赤や紫といった華やかで暗い色調がメインとなっています。



■ ブロシウス

 ブロシウスは最後の最後までイメージが固まらなかった後援者です。このキャラクターはシナリオから設定まで難航したように記憶していますし、名前も二転三転しています(コンセプトアートに「バルバトゥス」と書かれているのはその名残です)。

 メインのブロシウスより、サブキャラクターである成金貴族ドミニクスや、剣闘士メーディアの方が印象に残っているのではないかと思いますが、逆に言えばシナリオ展開含めて、色々と玄人受けしそうな要素がバランスよく揃っているとも言えそうです。

 ベースイメージは海外ドラマ『ROME』のプッロ役、レイ・スティーヴンソン(Ray Stevenson)の女癖悪そうな兄貴感と、元007俳優ピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)のダンディズムという、二つの乖離した要素を併せ持つところを狙っています。

 彼の衣装は貴族というわけでもないので他3人と比べると質素ですが、様々な文化圏を渡り歩く商人のようなイメージで多用な要素を加え、まとめています。



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GPSPch05
★設定画:左 ポンポニウスとアクイリア 右 エリザヴェタとブロシウス

 では今回はこのあたりで。次回があるのかどうか謎ですが…上記のようなことを考えながら制作された登場人物たちを愛でながら、改めてプレイしていただけると幸いです。